行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成20年11問

行政手続法

○:4.四つ


問11 行政手続法の定める審査基準に関する次のア~オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア、審査基準とは、行政庁が不利益処分をするか否かについて判断するために必要な基準である、と定義されている。
イ、審査基準を設定した場合には、設定後の審査基準を私人に対して不利益になるように変更することは許されない、と定められている。
ウ、審査基準を定めることは行政庁の努力義務であるが、設定した場合には、これを公にしておく法的義務が課される。
エ、審査基準には、法律に基づき処分の要件を定める政省令は含まれない。
オ、審査基準を設定する際には、どのような内容であっても、行政庁は意見公募手続を実施しなければならない。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.一つ

☓:2.二つ

☓:3.三つ

○:4.四つ

☓:5.五つ

解説

ア. 誤り。
審査基準とは、申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう(行政手続法第2条8号ロ)。
なお、本肢にある「行政庁が不利益処分をするか否かについて判断するために必要な基準」は、処分基準の定義に近いものであるが、条文上の処分基準の定義には「どのような不利益処分とするかについて」というのも含まれている(行政手続法第2条8号ハ)。
イ.誤り。
行政不服審査法における不服申立てでは、不利益変更を禁じる旨の規定がおかれているが、審査基準の変更において不利益変更を禁止する旨の規定は存在しない。
また、下級審判例では、申請後、審査基準が申請人の不利益に変更されても、特段の定めがない限り、処分時の審査基準に従って申請の諾否を決すべき、としている (名古屋高判金沢支部昭和57年12月22日)。
もっとも、学説上では、新基準を適用して不許可処分をすることを許すべきではないとの見解もあり、また、新基準を適用できるとした場合であっても、処理が違法に遅延したために、新基準が適用されて不許可処分した場合には、国家賠償請求をする余地があるとの指摘がされている。
ウ.誤り。
審査基準は設定するのも、それを公にすることも法的義務である(行政手続法第5条1項・3項)。
なお、公にする義務は、「行政上特別の支障があるときを除き、」となっているが、この除外の対象として想定されているものとしては、国の安全が害されるおそれがある場合、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれがある場合又は外国交渉上不利益を被るおそれがある場合などである。
エ.正しい。
行政手続法第2条8号では命令等について、「法律に基づく命令又は規則」(同号イ)と「審査基準」(同号ロ)は区別して規定している。
そして、本肢の言う「法律に基づき処分の要件を定める政省令」は、前者の法律に基づく命令に該当する。
したがって、審査基準には含まれない。
なお、このように政省令は審査基準に含まれないが、法令自身に審査基準に代わる内容が定められており、それが具体的で明確である場合は、必ずしも審査基準を定める必要はないと解されている。
オ.誤り。
審査基準は、命令等に含まれるため(行政手続法第2条8号ロ)、定めるにあたっては原則として意見公募手続を実施することが必要となる(行政手続法第39条1項)。
しかし、「どのような内容であっても」、意見公募手続が必要となるわけではなく、例えば、公益上、緊急に定める必要がある場合など一定の事情があるときは、意見公募手続は不要とされる(行政手続法第39条4項)。


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