解答 行政書士試験 平成20年51問
一般知識
○:1.ア・イ
○:1.ア・イ
問51 日本の社会保障制度に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。
ア、社会保障制度は、社会保険、公的扶助、公衆衛生、社会福祉の四つの柱から成り立つとされている。
イ、医療保険は、民間の給与所得者などを対象とする健康保険、農業・自営業者などを対象とする国民健康保険、公務員などを対象とする共済組合保険などに分立している。
ウ、生活保護の受給者については、生活保護による給付があるため、介護保険の被保険者にならない制度がとられている。
エ、介護保険法では、介護サービスを利用する際の利用者負担として費用の1割を負担する原則がとられているが、市町村の条例によってこの負担割合を増減することができる。
オ、年金保険の財源調達方式について、かつては賦課方式を採用していたが、制度改正により、しだいに積立方式に移行している。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
○:1.ア・イ
☓:2.ア・ウ
☓:3.イ・エ
☓:4.ウ・オ
☓:5.エ・オ
解説
ア.妥当である。
社会保障制度は、一般に社会保険(医療保険、年金保険、労災保険、雇用保険、介護保険)、公的扶助(生活保護)、公衆衛生(医療 、感染症対策、食品衛生、水道、廃棄物処理)、社会福祉(老人福祉、障害者福祉、児童福祉、母子福祉)の四つの柱から成り立つとされている。
もっとも、社会保障制度審議会(現:経済財政諮問会議・社会保障審議会)の分類では、老人保健(現:後期高齢者医療制度)を分けて扱っており、また、広義では恩給、戦争犠牲者援護を加えることもある。
イ.妥当である。
医療保険は、民間の大企業被用者などを対象とする組合健康保険、中小企業被用者などを対象とする政府管掌健康保険、農業・自営業者などを対象とする国民健康保険、公務員などを対象とする共済組合保険、船員を対象とする船員保険などに分立しており、加入医療保険の違いによって保険料負担の差が生じている。
ウ.妥当でない。
介護保険法では、生活保護の受給者を被保険者から除外してないため、生活保護受給者であっても、65歳以上の者は第一号被保険者となり、40歳以上65歳未満の者のうち、医療保険に加入している者は、第二号被保険者として介護保険の被保険者となる(介護保険法第9条)。
もっとも、市町村は、条例で定めるところにより、特別の理由がある者に対し、保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができるため(介護保険法第142条)、条例によって生活保護の受給者の保険料を減免し、又はその徴収を猶予していることはある。
エ.妥当でない。
介護保険法では、介護サービスを利用する際の利用者負担として費用の1割を負担する原則がとられており(介護保険法第41条4項1号、2号、42条2項など)、市町村の条例でこの負担割合を増減することは認められない。
オ.妥当でない。
賦課方式とは、現役世代から年金保険料を徴収して、高齢者に年金を支払うという仕組みである。
一方、積立方式は自分が納めた保険料を積み立てて、支払った本人が受け取るという方式である。
現在の日本では、積立方式と賦課方式の中間的な仕組みないし事実上の賦課方式といえる修正積立方式によって、運営がなされており、例えば、厚生年金では積立方式でスタートし、1954年の厚生年金法の改正で修正積立方式へとあらためられている。
したがって、 「制度改正により、しだいに積立方式に移行している。」わけではない。
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