行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成20年2問

基礎法学

○:5.(ア)【4】  (イ)【6】  (ウ)【7】  (エ)【1】  (オ)【3】


問2 類似の事柄であっても正確に区別して表現するために用いられる法令に特有の用語法について説明している次の文において、文中の空欄[ア]~[オ]に当てはまる用語の組合せとして、妥当なものはどれか。

[ア]は、ある事物Aと、それと性質を異にする他の事物Bとを、一定の法律関係において同一視し、当該他の事物Bについて生じる法律効果を、その事物Aについて生じさせる場合に用いるのに対し、[イ]は、ある事実について、当事者間に取決めがない場合または反対の証拠が挙がらない場合に、法が一応こうであろうという判断を下して、そのような取扱いをする場合に用いる。したがって、後者においては、当該事実について反対の証拠が挙がれば、この一応の取扱いは覆されることになる。
  また、[ウ]と[エ]は、ある法令上の制度や規定を、他の事項に当てはめて用いる場合に用いられる言葉として共通性があるが、[ウ]は、法令の個々の規定を他の事項に当てはめる場合に用いられるのに対して、[エ]は、一つの法令のまとまりのある制度全体を包括的に他の事項に当てはめる場合に用いられるという違いがある。なお、法令が改廃された場合で、旧規定は効力を失っているが、なお一定の事項については包括的に旧規定が適用されていた場合と同様に取り扱うときには、[オ]という表現が用いられる。
【1】「例による」
【2】「なお効力を有する」
【3】「なお従前の例による」
【4】「みなす」
【5】「適用する」
【6】「推定する」
【7】「準用する」

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.(ア)【6】  (イ)【4】  (ウ)【7】  (エ)【1】  (オ)【3】

☓:2.(ア)【6】  (イ)【4】  (ウ)【1】  (エ)【7】  (オ)【2】

☓:3.(ア)【4】  (イ)【6】  (ウ)【5】  (エ)【1】  (オ)【3】

☓:4.(ア)【6】  (イ)【5】  (ウ)【1】  (エ)【7】  (オ)【2】

○:5.(ア)【4】  (イ)【6】  (ウ)【7】  (エ)【1】  (オ)【3】

解説

ア.【4】「みなす」。
「みなす(看做す)」は、ある事物と、元来性質を異にする他の事物とを、一定の法律関係において同一視し、当該他の事物について生じる法律効果を、その事物について生じさせる場合に用いる。絶対的に同一視するため反対証拠をあげても覆すことはできない。例えば「未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。」(成年擬制:民法第753条)というように使われる。
イ.【6】「推定する」。
「推定する」は、ある事実について、当事者間に取決めがない場合または反対の証拠が挙がらない場合に、法が一応こうであろうという判断を下して、そのような取扱いをする場合に用いる。そうではない事実の判明や反対証拠によって、くつがえるという点で「看做す(みなす)」と異なる。例えば「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」(民法第772条)というように使われる。
ウ.【7】「準用する」。
「準用する」は、ある法令の個々の規定を他の類似する事柄に必要な修正を加え当てはめる場合に用いられるもので、同一ないし類似する規定が多くあることによって、その法令が煩雑になることを防止するための立法技術である。例えば、「民衆訴訟又は機関訴訟で、処分又は裁決の取消しを求めるものについては、第九条及び第十条第一項の規定を除き、取消訴訟に関する規定を準用する。」(行政事件訴訟法第43条1項)というように使われる。
なお、他の事柄ではなく、まさにその事柄のための規定である場合は「適用する」となる。
エ.【1】「例による」。
「例による」は、ある事項に関する一つの法令のまとまりのある制度全体を包括的に他の事項に当てはめる場合に用いられる。例えば行政事件訴訟法第7条では「行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、民事訴訟の例による。」となっている。
オ.【3】「なお従前の例による」。
法令の改廃において、旧法令や改正前の規定を持続させるには、「なお従前の例による」とする方法と「なおその効力を有する」とする方法がある。
前者は改廃前の法令はすでに効力を失っており、適用にあたっては「なお従前の例による」という規定が根拠になる。
一方、後者は「なおその効力を有する」という規定によって、改廃前の法令は効力を有していることになり、適用にあたっては改廃前の規定が根拠となる。本文では「旧規定は効力を失っているが、」とあるので「従前の例による」が正しい。
なお、この使い分けにより、大きな影響を及ぼすこととしては、「なおその効力を有する」の場合には、改廃前の規定は効力を存続しているので、後に改廃前の規定を改正することが可能となる。


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